「熊本県トラフグ養殖マニュアル」

熊本県では1996年に真珠養殖、アコヤ貝の大量死をめぐって当時、害虫駆除の目的で少なくないトラフグ養殖業者が使用していた「ホルマリン問題」が発生。

ホルマリン使用の問題は真珠貝の大量死や海の汚染にとどまらず食の安全に対する重大な問題として大きく取り上げられました。
当時、全国一の生産量を誇っていた熊本県のトラフグ養殖に壊滅的な打撃となりました。

こうした事態を受け、熊本県と県内養殖業者一体となって根本的な研究と対策をすすめていきます。 「熊本県水産試験センター(天草・大矢野)」はトラフグの食品としての安全性と海の環境保全を目的に「ホルマリンを使用しないトラフグ養殖の実現」研究と開発をすすめていくことになります。

2001年、その研究の成果として「熊本県トラフグ養殖マニュアル」右(表紙)が作成された。
「マニュアル」はトラフグの生態、生理の基礎研究からはじめ、種苗(稚魚)の選び方。給餌の内容と管理。トラフグの病気とその対策。養殖プログラム。など総合的で詳細なものとなっております。

加えて2002年度より熊本県独自に「トラフグ生産履歴認証書」を制定。制度的にも安全な食品提供のスキームをつくる事で消費者の皆様が安心して購入いただける基準作りに努力しているところです。
※「適正な養殖に対する意識が高く、食品として安全な養殖魚を育てる という自負を持ち、消費者の皆様に対して、その安心をアピールするための情報を提供できる養殖業者」を、適正養殖業者として認証し、熊本県産養殖魚の安全を確保するとともに、消費者の皆様の安心につなげることを目的としています。


「マニュアル」あとがきより抜粋

 『熊本県の養殖業者がトラフグ養殖の技術改革の為に、ここ数年どんなに頑張ってきたかをわれわれは痛いほど知っています。
そしてやっと熊本県の養殖業者は「(ホルマリンを使用しないで)なんとかトラフグを生産できる」までの技術を見出し、使いこなせるようになってきたと思っています。

「ホルマリンはトラフグのえら虫(寄生虫)を駆除するもので、トラフグにとってえら虫は大敵なので、駆除できないと養殖が成り立たない」と言うのが報道などを含めた一般的な理解のようですが、(研究の結果)このことは事実とは少し異なると考えています。』
《マニュアル背表紙にエラ虫を全く駆除しない環境でのトラフグの生育期間別の画像有り》


[マニュアルの内容・特徴]

(1)トラフグの生理・生態、トラフグの餌・給餌管理、歯切り方法、放養密度などの基本 的な管理、トラフグの病気とその対策など総合的な養殖方法をA4版121ページ冊子形式で詳しく記述した。

(2)トラフグ養殖を行う上で養殖業者が疑問に思ったことがすぐに分かるような構成と、 多くの写真により、養殖業者が自分のトラフグと比較できるよう工夫を行った。

(3)月別の管理の要点を、トラフグの成長に基づき整理した管理スケジュール「トラフグ養殖プログラム」(A3版 折り込み6ページ)を添付した。

[成果の活用面・留意点]

(1)本マニュアルを通じてトラフグ養殖が「非常に難しい」もので、その成功の鍵は「トラフグを良く知り、養殖技術を熟知すること」を養殖業者に理解させる。

(2)本マニュアルは現時点での最良の技術を提示したものであり、更に改良・改善の余地があること。今後は、更に新しい技術(新薬、ワクチンなど)を開発・導入し、より良い技術を養殖業者とともに目指していくために活用したい。



「熊本県トラフグ養殖マニュアル」
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